作者:上村崇 フリーランスのIT系エンジニア
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中国・深圳の工場見学ツアーで中国のありのままを見てきました。


2018/3/18〜21にかけて中国・深圳(シンセン)に行ってきました。3ヶ月前に初めて深圳に行きましたが、それにひきつづき人生2回目の深圳です。
3ヶ月前に深圳に行ったときのブログはこちら

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前回の一人旅深圳旅行において現地情報をいろいろとネットで調べているうちに、深圳で工場見学ができるツアーがあることを知りました。そのときは直近のツアーがちょうど終了したところだったのでタイミングが合わなかったのですが、後日、第8回目のツアーが3月に催行されることを知り申し込んだのでした。

ニコ技深セン観察会というツアーです。
現地集合現地解散の、ボランティアベースで毎年2回くらい開催されています。
「体験をブログに書くこと」が参加条件ですので、こうやってブログを書いています。
また、事前に自己紹介も書く必要があります。私の自己紹介はこちら

ツアーは3日間あり、それぞれの日に分けてブログを書きましたので各論はそちらを参照してください。
1日目: ハードウェア製造工場、金型工場など。Insta360というカメラがよかった。
2日目: パクリ風ロボットがいい味出してました。
3日目: コワーキングスペースなどの見学など。

また、他の参加者のブログ一覧はここにまとめられています。
第8回ニコ技深セン観察会 参加者名簿:感想まとめ

ツアーを通しての感想

ここでは総合的な感想を書きます。
ツアーについて、良かったことも悪かったことも思ったとおり正直に書きます。「○○が良かった」とか「○○サイコー」だけの記事もいいけど、それだけだとこれから参加しようとしている人がフェアな判断ができなくなると思ったので。気を悪くしたらすみません。
これから初めて参加する人は多かれ少なかれ不安をかかえて参加するので、
「どういうデメリットがあるか?」
についても詳しく説明したいと思いました。

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前提として、私はソフトウェア技術者です。その視点で感じたことを書いています。観察会は主に深圳のハードウェアメーカーについて見学に行くので、私は畑違いです。ただし、参加者のハードウェア知識の有無についての条件や制限は無いので誰でも申込できます。(抽選に当選しやすい/しにくいには関係すると思いますが)
ぜひとも参加したいと思う方は、
・観察会の募集が始まったらすぐに申込をすること。(早く申し込んだほうが選ばれやすくなります)
・どれだけ自分が参加したいと思ってるか、何を学びたいかなどの熱意を自己紹介で伝えること。(情熱は人を動かします)
を心がけると参加できる確率がアップすると思います。

私はハードウェアの知識はあまり持ってないです。ですのでツアー中に登場してきた用語、例えば部品の名前(PCBとか)、使っている技術の名前(LIDARとか)、有名な製品や会社名(MakeBlockとかInsta360とか)、有名な人(Eric Panとか)に関してまったく知らなかったので、それが前提の話が分かりませんでした。その点で疎外感を感じたりしました。ですのでハードウェア方面に明るい人がこの観察会に参加するのがやはりもっともふさわしいと思います。
ただし、「海外に行くために語学を完璧にして行くより、まず行って体験する」ことが十分価値があるのと同様に、
「知らないけど参加する」というのももちろん意味のあることだと思います
「知らないということに気づいた、学ぶためのきっかけを得られた」ことが、これからの知る努力を加速させます。私がまさにそうでした。
「ハードウェア周辺の技術がこれからどういう発展を遂げるのか、自分なりにリサーチしてみたいなぁ」というモチベーションが芽生えました。

ツアー行程中に「これは良くないな」「やってほしくなかったな」と思うこともありましたが、総合的には行ってよかったです。個人旅行では味わえない貴重な体験ができました
深圳は観光の街ではなく「世界の工場」の特色を持つモノづくりの都市ですので、旅行ガイドには載っていない、工場や実際にそこで働いている人と直接触れあえる体験は、この都市の本質的な理解をするのに役立ちます

このツアーはボランティアベースなので、3日間の行程でかかったコストは
・1日目 → バス代/昼飯/夕飯つき300元(約5000円)
・2日目 → バス代/昼飯/夕飯つき300元
・3日目 → 夕飯実費のみ(100元くらい)
と安くすませられました。
私の金銭感覚的には1日1万円くらいまでなら出せると思いました。1万円以上だと悩むかも。それくらいの価値のツアーだと思いました。

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ツアーの進行は実質的に高須さん一人でやってたけど、30人以上の参加者を一人で引率するのは無理があると思いました。
こういうのは2〜3人のスタッフ体制でやるといいかも知れません。
集金係、タイムキーピング係、事務的アナウンス係、点呼係を別の人がやるとか。
ボランティアツアーだというのは参加者みんな分かっているので、役割さえアサインすればみんな積極的に協力すると思います。
ただ、私も実際にコミュニティを運営していたから分かるんですが、主催者一人でできるなら全部やりたいんですよね。自分が思い描くとおりのイベントにしたいと思ったとき、その通りに作り上げられる人は自分1人だけなので、つい自分だけで全部やってしまおうとします。

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そんな感じのセーフティーネットがないツアーなので、ツアーバス乗車時の点呼は無いです。うっかり乗り遅れるリスクは非常に高いです。(実際に、ツアー中に積み残しが2回起こりました)
「連れて行ってもらっている」というお客さん気分ではなく、サバンナで生きる草食動物のように、つねに群れの一員であることを意識し、かつ、群れからはぐれても誰も助けてくれないという覚悟が必要だと思います。
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余談ですが、点呼については何か便利なアプリないのかなぁ? 参加者は全員Wechat(微信)アプリをインストールしているから、それでチェックインのような機能がある点呼アプリがあれば便利そう。
それがなくても、Googleスプレッドシードで自分が着席したら○をつけるとか。(ただし中国SIM使っててGoogleがファイアウォールのため見れない人もいるかも)

また、サバイバルなツアーですのできめ細やかなケアは受けられません。
まともなトイレ休憩の時間がほとんどないです。
僕はトイレが近いほうなのですが、和を乱さないように、そして置いてけぼりを食らわないように、できるだけ水分を採らないでトイレに行く回数を減らすように努力しました。糖尿病とか持病持っている人はダメかも。
また、中国ですのでお察しのとおりバリアフリーではありませんし、群れに追いつくために走らなければならないこともあります。健常者しか楽しめないツアーだと思います。
さらに言うと、背が低いとほかの参加者に視界が遮られて十分な説明が聞けないかも知れません。食事は早食いをしなければならないかも知れません。
中国は日本に比べて交通事故を多く見るそうなので、心配な方は個人で旅行保険をかけておいたほうがいいと思います(ツアー側では保険はかけてないと思います)。
「写真に写りたくない」というような肖像権を主張することもできません。すべてがオープンになりますので、お忍びで参加したい方はこのツアーは向きません。
スマホを持ってない人はいろいろとムリです。(このツアーに参加したい人で、そんな人はいないと思いますが)

そして私の体力的な問題なんですが、1日に5ヵ所以上の見学はけっこう疲れます。4件目くらいから「もうしんどい」と感じました。もちろん知的好奇心はあるんだけど、それよりもしんどさが勝ってぐったりしてしまう感じ。1日3件くらいの見学を、休憩を十分はさみながらゆっくり回る感じであればベストでした。
私は43歳なんですが、20代〜30代の若い方ならそういう悩みもなく元気に回れるんじゃないかと思います。

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現地の方のプレゼンテーションは基本的に英語で、通訳はありません。
ただし、スライドなど映像も合わせて話す場合が多いので、スライドを見ているとなんとなく言っていることは分かります。
私は英語は日常会話程度のレベルでしたので、プレゼンで聞く高度で速い英語はあまり分かりませんでした。しかしスライドを見ながらなんとなく言ってることは分かりました。

ボランティアベースのツアーであり、基本的に参加者は「相手のご厚意に甘える」という形で見学するので、感謝の気持ちは常に忘れないようにしたほうがいいと思います。
ただし、日本でもしばしばある、
「無料セミナーは無料である代わりに、個人情報など相手が欲しがっている情報の提供を求められる」
というモデルもありえます。参加者側からも何か有益なものを対価として与えていることが(無意識であったにしろ)あるので、全面的な感謝や、必要以上にへりくだる必要はないと思います。
特に中国人は損得勘定にシビアで「損して得取る」という考え方ではなく「得して得取る」というスタンスであり、無条件な奉仕は無いそうなので、「良くしてもらっているのは何か別の目的があるかも」くらいに考えた方がいいかも知れません。
つまり「ボランティアでやってくれるのは嬉しいが、そっちにもメリットあるよね」くらいの気持ちでもいいかなという気がしています。
例えば参加者が期待されることと言えば、
・広告宣伝を期待される
・物品を購入することを期待される
・誰か、あるいは組織のソーシャルスコアを上げることを期待される
などです。
逆に言うと、もし自分が「与えてもらっている」と感じればこういうことで恩返しをすればいいし、
「特に与えてもらってない」と思えば自分からも何もする必要はない、そういう関わり方でいいんじゃないかと思います。

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見学した工場やオフィスを見た感想ですが、
ほんとにありのままの中国、深圳を直接見ることができたのが何より嬉しかったです。
「進んでるなぁ」「遅れてるなぁ」「清潔だなぁ」「汚れてるなぁ」「パクってるなぁ」などの感想を何度も抱きました。
このツアーは「現在」を切り取ったものであり、これから深圳がどうなっていくのかは1年後、2年後も見ないと私は想像ができないですが、3ヶ月前に初めて深圳に行ったときに感じたように、中国はますます存在感を増すという思いを強くしました。
ITの世界でも中国が世界を牽引していく未来が見えたので、私も中国語を勉強して将来は中国様に自分の食いぶちを導いてもらえるようがんばらないといけないと感じました。

中華料理はうまい

ツアーの内容とは少しはずれるかも知れませんが、ツアー中にいただいた中華料理がおいしかったです。
特に夕食は、大人数で丸テーブルを囲んで食事するのでいろんな料理が食べられます。個人旅行では「何がおいしいか?」が分からず注文もしにくいですが、このツアーでは中国語が堪能な参加者もいらっしゃいますし、おまかせでおいしいものが食べられるのでものすごく満足度が高いです。

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参加者の経歴はバラエティーに富んでいます。こういうツアーでなければ一生接点がないと思われるメディア・マスコミの方や金融系の方、学校関係の方ともお友達になれるので、人脈を作るという意味でも非常に価値があるツアーだと思います。

ツアーは3日間あり、それぞれの日に分けてブログを書きましたので各論はそちらを参照してください。
1日目: ハードウェア製造工場、金型工場など。Insta360というカメラがよかった。
2日目: パクリ風ロボットがいい味出してました。
3日目: コワーキングスペースなどの見学など。

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