2017/12/7〜12 の6日間、中国深圳(シンセン、Shenzhen)に行ってきました。位置は香港のすぐ北にあります。中国は2006年に上海に行ったことがありますが、深圳は初めてです。
2017/12の中国深圳・香港旅行記関連の記事はシリーズになっています。こちらの目次をご覧ください。
深圳は中国の中でもハイテク化が進んでいるところで、
・世界最大と言われる電気街
・シェア自転車
・電子マネー決済でキャッシュレスな社会
がよく話題にのぼります。
ここ30年で人口が30万人から1400万人に増加した爆速進化都市です。
1980年に経済特区に指定されてから人口が爆発的に増え、現在は中国で北京市、上海市、広州市に次ぐ4位の都市になっています。
こんな急激に発展した都市は日本には無いので、「どうなっているのだろう?」という単純な興味で行ってみました。
最近、深圳に関するブログ記事が目につくようにもなって、日本人もこの都市が気になっている気がします。
こんな記事を旅行前や旅行中に発見したので読んでました。
- 深センに行ってきましたが、秋葉原は電気街として大変きびしいですね(ツアー編)takeoriの日記
- 人類史上最速で成長する都市「深セン」で何が起きているのか 変化し続ける街知られざる深セン ダイヤモンド・オンライン
- 世界でも類を見ないほどの爆速で発展した電脳都市「深セン」の過去・現在・未来に迫るムービー GIGAZINE
- 世界最大の電気街、深セン「華強北」とっておきガイド ORICON NEWS
- 日本が中国に完敗した今、26歳の私が全てのオッサンに言いたいこと 現代ビジネス
- 「現代ビジネス」深センの現在を切り取った記事に「オッサン」が回答 ライブドアニュース
- うわべだけで「深セン」を語る恥ずかしさ プレジデントオンライン
地下鉄も爆速で成長しているのが分かります。
こんなペースで地下鉄って作れるんだ…びっくり。
そして今なお路線拡張中です。
世界最大?の電気街
秋葉原をはるかにしのぐ大きさの電気街があります。「華強北(华強北、ファージャンペイ)」という地域です。
うろうろ歩きまわりましたがどこから始まってどこまで続くのか分からないほど大きかったです。
秋葉原ほどサブカルチャー的な要素はなく、ほとんどが電気製品や部品などの店。
2日間歩きましたが全部回りきれませんでした。全貌は分からずじまい。
スマホでキャッシュレス決済
レストランや小売店はほぼすべての店でWeChatPay(微信)のスマホアプリ決済ができます。ただ、このスマホアプリがないと死ぬかというとそうではなく、現金決済もできます。
旅行に行く前に「WeChatPayは必須」という記事をたくさん見たので、現金は使えないのかと思ってましたが実際は使えました。ネット上に落ちてる記事は誇張に満ちた表現ばかりで100%信じたらダメだなあと思いました。WeChatPayは必須ではないです。
現地で泊めてもらったAirbnbホストも
「WeChatPayあれば確かに便利だけど、現金でも払えるから心配しなくていいよ」
て言ってました。
街でよく観察していると、老人は電子決済を使わず現金で支払っているケースが多かったです。
また、百貨店の地下にあるレストランでは、WeChatPayに対応していなかったので現金で支払いました。
つまり旅行者は
「WeChatPayはあれば便利。現金は必ず持ってないといけない」
ということだと思います。
私は、Airbnbホストに現金1000元(17000円)を渡しWeChatPayにチャージしてもらいました。(中国の銀行口座を持たない外国人は自力ではチャージできないため)
WeChatPayで支払うと、以下のように支払い通知が届きます。
WeChatPayで支払うと、決済完了のメッセージがスマホに届く。
シェア自転車
シェア自転車サービスを提供している会社は複数ありますが、ofoとmobikeが2大シェアを持っているみたいです。街を歩いた実感ではofoの自転車が多かったです。2大勢力以外の自転車はたまに見かけるくらいで、あまり利用している人はいません。シェア3位以降の企業は倒産が相次いでおり淘汰されてきていますので、今後はofoとmobikeの2大勢力に収れんされていくのではないかと思います。
私は日本出発前にmobikeのサービスをあらかじめ契約しておりました。mobikeは札幌でもサービスを開始しましたし、サイトも日本語ですので日本人には扱いやすいでしょう。
mobikeの使い方動画。スマホで簡単に使い始められる。
ここから先は、旅行して感じた私の考察になります。
日本は中国に負けたのか?
GDPではとっくに負けています。2010年ごろに日本は中国にGDP2位の座を明け渡し、今では倍以上の差をつけられています。
「いやいや日本は負けてないよ」というのもまた真理かと思います。ですがそれは各論での話です。
国の勢力を測る重要指標であるGDPですでに負けているということです。
ですので、私は「日本は中国に負けている」と思います。
でもこれは考えれば当然のことです。1.3億の人口の国と、13億の人口の国。10倍も開きがあるんですから負けるのは当然です。悲観することはありません。
日本が勝とうと思うと1人で10人分の仕事をしなければなりません。
でも私は勝った、負けたを問題にしたいわけではないです。国レベルの比較をしても、私個人の生き方には関係しないからです。
私自身の関心は
「システムエンジニアである自分の食いぶちを確保するために、今後、中国を意識しないといけなくなるかどうか?」です。
答えはYesです。
中国に負けたとか、中国人が嫌いとかそういう感情がたとえあったとしても、そんな感情だけで視界から中国を排除してはいけない。
自分のビジネスにおいて中国をパートナーとして認識しなければ生きていけないのではないかと思ったのです。
ITの分野では、現在はアメリカが先頭を走っています。私たちはmicrosoft製のOSを使い、Apple製のスマホを使い、インターネットの世界では、英語圏で生まれた新しいツールやテクノロジーを使っています。だから私たちは英語を重要視し、
「エンジニアたるもの英語はできなければならない」
と刷り込まれてきましたし、若い人たちにもそういう説教をしてきました。
英語ができるとITのビジネスを有利に進めることができるのです。
かたや中国。
ドローンの世界シェアNo.1企業DJIは深圳にあります。
同じく深圳に本社があるインターネット関連企業テンセント(腾讯)は、時価総額がfacebookに次ぐ世界6位です。2018年に50階建ての新本社ビルを300億円かけて建設するそうです。
スマホで最近シェアを拡大してきたファーウェイ(HUAWEI、華為)は、年間売上が8兆円ある巨大企業です。
かつては中国の企業が、日本に追いつけ追い越せとばかりに優れた日本人技術者を欲しがり高待遇で迎え入れました。
しかし今はそういう「自分たちが持たない技術を持っている」日本人は求められておらず、中国の企業には
「日本からは学ぶところがなくなったからそういう人材はいらない」
という自負があるように見えます。
深圳のレストランで募集していた求人の給与条件を見てみると、だいたい日本の半分くらいの報酬額でした。ただし深圳は物価も給与水準も現在進行中で上がっています。現時点では半分かも知れませんが、近い将来日本に並び、そして追い越される日が必ず来ると思います。
中華食堂の求人。1元=17円だから17倍すれば日本円になる。
そうなるとどうなるか?
「中国人が羨望の目で見ていた日本人技術者」は「自分たちより安く雇える、使い勝手のいい技術者」になります。
過去に日本が中国に対してアウトソースしていたという状況が逆転し、中国様の言うことを聞く下請け業者になるのです。
中国が先頭を走り、その恩恵を私達日本人が受けるという構図になります。
言うまでもなく、中国語を理解する者が「イケてるエンジニア」になります。
中国の経済発展をまのあたりにして、「何年後か分からないけど、そういう未来が来る」と思いました。
深圳の地下鉄が爆速で発達している、そういうポテンシャルを中国人が持っていることをかんがみると、私達が思っているよりもずっと早くその時代は来るかも知れません。
中国の成長速度はめざましく、様々な分野で日本を追い越そうとしています。
ITは模倣しやすく短期間で成果が出やすいので、おそらく真っ先に食われる分野なのだと思います。
現地のAirbnbホストが語っていました。
「中国人は短期間で成果が出る金儲けは得意だが、じっくり時間をかけて利益を生むようなプロダクトを作るのは弱い」そうです。
化粧品は依然として日本製のものが大人気です。中国人には簡単にはマネできないということなのでしょう。
衣料品はユニクロが人気でしたが、これも「品質がいいし長持ちする」から多少高くても人気があるということみたいです。
アニメキャラクターもドラえもんやハローキティなど日本のものが幅をきかせている感じでした。これはおそらく、中国人が昔見ていた日本アニメが生活に根付いており、そのブランド力が発揮されているのでしょう。
中国はどんどん日本の得意分野を脅かしてくると思う。
ただし、これらの分野の優位性も中国に奪われるのは時間の問題だと私は思います。
建設とか自動車は、日本と中国が今どういう状況になっているか知らないので私は語れないですが、こういうのもきっと中国にかなわなくなる日が来るのでしょう。
中国には膨大な数の人がいます。経済発展が進むにつれ、莫大な人口の中から超優秀な人が台頭してきて日本の牙城が崩されてくるに違いありません。
中国語を学ぶといいことがあるかも知れない
このような理由で
「僕は中国語を学びたい(ただし続けられる強い意志があるとは言ってない)」
のですが、中国語を学ぶメリットがもう一つあると思ってます。
深圳の住民はほとんど英語ができませんでした。スターバックスなどの外資系では英語で注文できましたが、ローカルフードな店はダメです。電気街の店員も英語ダメです。
レストランのメニューの11番目を注文したくて「ナンバーイレブン」て言いましたが理解してもらえませんでした。たぶん4以上の数字は知らないのではないか?というレベルです。
ちょうど私達日本人が中国語をほとんど知らない、ロシア語をほとんど知らないというレベルで彼らは英語を知らないです。義務教育でやらなかったんだろうか?
一方、欧米人は中国語が全然できません。彼らが外国語として漢字を覚えるのはとてもハードルが高いと思います。
実際、コミュニケーションがうまくできないからか、香港には欧米人がいっぱいいるのに深圳ではほとんど見ませんでした。
つまり何が言いたいかというと、
「漢字の国の人である日本人は、中国語を習得するのに有利な位置にいる」
ということです。
また、欧米人との架け橋になれる可能性を秘めています。
「日本人であることを活かしたなんらかのチャンスがあるのではないか?」という気がしています。
日本人は中国人と欧米人の間の架け橋になれる可能性がある。
以上、読んでくださりありがとうございました。
初めての深圳旅行を通じて感じたことを書いてみましたが、これ以外にも現地情報や香港からの越境手段などのノウハウについていろいろ書いています。
2017/12の中国深圳・香港旅行記関連の記事はシリーズになっています。こちらの目次をご覧ください。
とても興味深く読ませていただきました!
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この度、偶然深圳に行き私も全く同じ事を感じました。私も早速中国語を習い始めないと!と焦っています。