作者:上村崇 フリーランスのIT系エンジニア
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データ公開が加速するとどういう未来がやってくるか?オープンデータの講演会に行ってきた


2014/7/25に神戸で開催されたオープンデータの講演会に参加しました。
NPO法人community linkが推進しているOpen data labという団体が主催で、講師は国際大学准教授の渡辺智暁さんです。
参加した感想と振り返りをします。

イベント概要:データ公開時代、今こそ知りたい「オープンデータ化の価値とは」

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オープンデータって?

誰でもオープンに使えるデータ、そのデータを加工してもいいし、再利用してもいい。営利目的もOK。
一般的に、政府や行政機関が提供しているデータ。それを民間が活用するというユースケースが一般的です。
例:

・気象データをオープン化し誰でも利用できるようにする。
・トラックの交通量データをオープン化する。

ただし、利用にはクレジット表示(出所や著者を明らかにすること)やライセンスの継承が必要な場合もあります。
行政機関だけでなく、企業や学者から発信されたデータもオープン化している例はあります。ただしあまり多くないようです。

オープンデータにすると何がメリットなのか?

経済価値が生まれる。

Truck-o-meter(ニュージーランド)の例。
トラックの交通量のデータがオープン化されている。
→ 景気の先行指標として精度が高い。これをもとに景気予測などができる。

iTriage(アメリカ)の例。
医療機関のデータをオープン化した結果、病状、近隣の診療所、評判やERの待ち時間などの情報を携帯アプリで見ることができる。

この「経済的価値がある」というメリットがオープンデータのメリットとして一番大きい気がします。
今まで入手が困難だったり、入手に時間がかかる情報が、オープンデータ化により簡単に手に入るようになります。
情報の入手に使っていた無駄が減るので生産性が上がります。

政府・政策が改善されることがある。

AEDの設置場所が分かるアプリが開発される。
街路樹のデータを公開することにより、花粉症をかかえるコミュニティがこれに注目し、住民はより花粉症の影響が少ない通勤路の選択ができるようになった。

民主主義が発展する。

データがオープンになり透明化することで政府の腐敗を防げたりする。

なぜ最近オープンデータがもてはやされているのか?

最近になってオープンデータがもてはやされてきたのは、
・高速通信ネットワークが整ってきた。情報流通がしやすくなった。
・自治体の財政難のため、すべてのことを公共事業で行うことが難しい。そこでオープンデータを使ってもらえる民間活力に期待
というのが背景にあるみたいです。

オープンデータは、まず零細ハッカーやスタートアップ企業などが注目し、フロンティアを切り拓いていきます。それが成功したら
大手企業が追随し、より大規模なサービスとして世に出てくるという流れになるそうです。

そして以下、広い意味でのオープン化に入ります。オープン化というのはデジタルデータだけでは無いです。
・学校の校庭開放
・市民参加型のまちづくり

ライセンスとは?

オープンデータは、誰でも自由につかえる特徴を持っているということで、ライセンスとしては
パブリックライセンス(=公衆一般への許諾)というものになるそうです。
そのデータが著作権を持つかどうか?という点についてはケースバイケースです。
ただの事実だけを並べたデータならば著作権は無いですが、たとえばそれを意味のある順序に並び替えたり、人が読みやすいように構造化したりすると、そこに人間の創造性が発揮されますので、著作物になります。
例としては、新聞の記事があげられます。事実そのものには著作権はありませんが、編集されたりレイアウトされると著作物になります。

CCライセンスとは?

このページが詳しいです。
クリエイティブ・コモンズ
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは

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全体を通しての感想

渡辺さんの話はとても流暢で、とてもたくさんの情報が目からも耳からも大量に流れこんできたので、僕には少々難しいものでした。しかしとても内容の濃い話だったと思います。ほとんど何も分からないまま興味本位で参加しましたが、渡辺さんは権威ある学者の方だったみたいで(知らなくてすみません)、こんなチャンスはたぶんあまりないラッキーな機会でした。オープンデータとかライセンスといったものの学問的基礎を勉強できたと思います。
とても興味深かったので、講演会あとの懇親会にも参加させてもらいました。

しかし、話のすべてを理解できなかったからか、あまり自分の頭にピンとこない感じで帰路についてしまいました。
例えば、オープンデータが注目されているといっても、どれくらい注目されているのかが分かりませんでした。こういうのは興味があれば自分で調べていく必要がありますかね。
例えば、
・10年前はオープンデータを公開している自治体は○○数あったが、現在は○○数に増えた。
・オープンデータを使う前は○○円くらいの価値だったものが、オープンデータを使うアプリが開発されて○○円くらいの経済効果を生むようになった。または○○円の節約になった。
・どんなデバイスで活用されているのか、身近に触れられるオープンデータの事例ってどんなものがあるのか?
・オープンデータのデータフォーマットってどんなものがあるのか?(jsonとかXMLとか?)
といった、やや技術的な話や定量的な統計が分かればもっと実感が湧くかなと思います。
今はまだ、オープンデータというのは誰か偉い人が設計・整備している段階で、まだ身近になっていないのかな、というぼんやりした印象を受けました。

ライセンスについても、僕は不勉強だし理解する気も無かったのであまりこの世界は知りません。
今に始まった話ではないですが、違法コピーの例とか、秘密にしていた個人情報が社内のエンジニアによって漏洩されてしまったとかいうニュースをよく聞きます。きっとこういう違法行為は完全に防ぐことはできず、これから将来にわたっても残念ながら同じような不幸は続いていくんだと思います。
それは、デジタルデータのコピーや拡散が、どんどん簡単になってきていることと無関係ではないです。
USBメモリなどの記録メディアは大容量化され、個人が安価に入手できるものでも何百万人のデータを保存したり、たくさんの画像データや映像などの著作物を保存できます。
高速なネットワークで瞬く間に情報が拡散します。そしてそれはいちど拡散してしまったら戻らない、不可逆なフローです。
そういう「望まない情報公開」が席巻する社会になりつつあるし、今後はそのスピードがもっと加速していくのではないかと僕は予想しています。
そんな中で、著作権とかライセンスといった、モノ(特にデジタルデータ)に許諾を与えたり制限をかけたりする仕組みが、はたしてこれからもうまく機能するのか?
これを維持していくのは、とても困難なイバラの道ではないかと思います。
どれだけ立派なルールを作っても、それを破る人が圧倒的多数になればルールは機能しません。究極の将来には、著作権やライセンスの無法状態になり、すべての個人情報やデータがオープン化する世界が(望む、望まざるにかかわらず)やってくるような気がしてなりません。

そういう考え方をしているもので、極論すれば「ライセンスや著作権なんて無い方がいいよね。どうせ将来は意味なくなるんだから」というスタンスになり、あまりこれらについて勉強する意欲が沸かないのかも知れません。

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