作者:上村崇 フリーランスのIT系エンジニア
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【書評】成功は一日で捨て去れ


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1か月くらいかけてダラダラ読んでしまいました。もう本の最初の方あまり覚えていないですが…。
ユニクロブランドを引っ提げて急成長するファーストリテイリングの柳井正さん著の本です。
不況でも成長する秘訣は何なのか。7000億円もの売上を稼ぎだすユニクロの経営理念がこの本には詰まっています。

社長の柳井さんは60歳とのことですが、とにかく考え方が若いです。古い考え方やしがらみにとらわれず、新しいことをどんどん考えて実行し、失敗だと判断したら速やかに撤退しています。
そして「お客様がどう考えているか、どうしたら買いたいと思うか」をいつも考え、徹底した顧客第一主義を貫いています。
小売業だからと言って日本国内だけの市場を見つめていればよいという訳ではなく、グローバル化の時代の到来を予見し、自らも率先的に海外展開しています。
今となっては、H&MやGAPのように全世界に知られるアパレルメーカーとなっています。

企業理念というか、仕事への取り組み方について語っている記述がところどころにあり、成功した経営者としてのお言葉としてとても勉強になります。

 

企業経営は、なんでも実際にやってみないと分からないことが多い。完全なものが出来るまで待っていたら、何にもできない。自分の会社や事業として、単純に「こんなことをしたい」のではなく、常に「どうあるべきか」を考えて決断しなくてはならない。多くの人が、自分に果たしてできるだろうか、自分には能力がないのではないか、こんなことよりも自分は別のことをしたほうがいいのではないか、などと思い悩む。それで大失敗するのだ。
  世間とか世の中は自分よりももっとずっと大きな存在なので、自分の都合などは聞いてくれない。社会的に必然性がなければ失敗する。社会がその事業を要求するから成功するわけで、本当は何も思い悩む必要などないのだ。

 

世の中の変化と市場は暴力的です。
そこでは自分の都合や自社の都合は一切許されません。

 

会社を成長させようと思ったら、「現状満足」では絶対にダメで、現状を否定しつつ変えていかなければならない。そうするには経営者や幹部自身がまず自分を変えようとしなければなないし、それができなければ会社は変わらない。

 

サラリーマン社会の浸透というのは、自分が意思を持ってこうするのだ、というよりも、他人からこうしてくれと指示されない限り動かない、そんな思考の人が増えていることを示している。それでは、だめだと思う。

 

本来、仕事というのは自分で作り出していくべきものである。
店舗で接客販売する場合も、本社や本部で仕事をする場合も一緒だと思うのだが、自分がやるべき仕事の範囲は、社内の職務分掌規定に決められているにせよ、初めから範囲を限定してはいけない。本来は、自分で仕事を発見していかなければならないのに、与えられた仕事だけをするのがサラリーマン、あるいは会社員だと考えているのか、そういう人が増えてきている。

仕事というのものは、自分の専門分野のことだけ考えれば良いのではなく、部門を超えてどんな影響を与えあうか考え調整しながらやるべきものである。自部門に余裕があれば、忙しい他部門を手伝ってあげるべきだが、誰もそういう具合には考えない。そして、いつの間にか自分の城を築き、守りに入る。これでは「会社」ではない。会社は、そこで働く普通の人たちの力が、みんなで働くことによって何倍にも大きくなり、個人では成しえないような偉大なことを行う場所である。それを阻害するような壁や城があったら邪魔なだけである。

 

品質の良くない商品をいくら売っても、いくら売れても楽しくはない。「安いですね」と言われるだけであれば、商品を自分たちで作る必要もない。良い商品を作って売って、それをお客様が喜んで買ってくれるから楽しいのだ。

 

 

ユニクロはまだまだ成長するでしょうね。
グローバル市場は大きいですから。

 

 

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2 Replies to “【書評】成功は一日で捨て去れ”

  1. この本、読んでみます。
    面白そうです。
    経営ってほんとやってみないとわかりません。
    それも、代表権がないとダメですね。
    24時間、仕事のことを考えることができる人が経営者です。

  2. こういう人の考え方ってほんとにグローバルで、僕らの見ている目線とは全然違う高いところから世の中を見て、戦略を考えている感じがします。
    最近、「デフレはユニクロが先導している」って批判とかよく見かけますけど、そういう次元の話をしているだけでは現状は打破できないなと思いました。

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