大前研一氏の本はわりと読んでます。
最近ギリシャ問題で騒がれているのであぶなっかしいと思われているEUですが、そのEUをテーマに最近の情勢を解説してくれている本です。
確かにギリシャはやばいみたいですが、EUという超国家を見た場合、致命的なダメージを受けるほど脆弱な組織なのでしょうか?
この本を読む限り、EUの将来はけして悲観するものではなく、むしろこれからもアメリカをしのぐパワーを持つ巨大国家としてその勢いを増していくのではないかと思いました。
ドルに代わる通貨ユーロも、これからどんどん存在感を増してゆくでしょう。
私はよく、「タクシーの運転手を見るとその国の経済実態がわかる」と言っている。
たとえばロシアでは、かつてはタクシーの代金はルーブルで払っていた。
けれどもペレストロイカ(改革)が始まったらインフレで、1ルーブル=400円だったものが2円にまで落ちてしまった。
おかげでケタが足りなくなって、メーターを使わなくなった。
そして「どこどこまで行ってくれ」と言うと、ドルで料金を言ってくるようになった。
最初は5ドルとか10ドルとか言っていたものが、だんだんエスカレートして、ごく近いところなのに20ドルなどと言い始めた。
ところが4,5年くらい前、1ユーロ=1.2ドルくらいになったときに、「お客さん、ユーロ持ってないか」「あそこへ行くのに5ユーロだ」という言い方に変わってきた。
「あれ、カレンシーがシフトしたな」
と私は思った。
そこで、「悪いが、ぼくはドルしか持っていないのだよ」と言うと、5ユーロと言っていたくせに、今度は「10ドルくれ」と言いだすのだ。
こういうわけだから、タクシー料金と言うのは、一種の先行指標なのである。
世界各国は過去20年間、アメリカを中心とする「パックス・アメリカーナ」によって好況を享受してきた。その体制を壊してしまったら、どうなってしまうのかだれも予想がつかない。
はっきりしているのは少なくとも今までにため込んだドル資産が無価値になり、国富が失われるということだ。だから日本も中国も湾岸諸国も、表だってはドルから逃避するのを遠慮しているのだ。
そうはいってもみんな、陰ではこっそりドルからユーロへのシフトを進めている。そのドルからユーロへのシフトを一番うまくやった国、それが実は日本である。
2003年に日銀総裁に就任し、5年間その職にあった福井俊彦氏は、在任中に準備通貨の30%強をユーロにシフトしていた。私はこれが福井日銀総裁の最大の功績だと思っている。まだ誰もユーロにシフトしようと真剣には思っていない時期に、気がついたらやっていたのだから。しかも時の政権はアメリカべったりの小泉内閣である。
しかし、世間ではユーロに対して悲観的で、最近では1ユーロ=110円くらいまで下がってきています。
こんな記事も見つけました。
愛されない単一通貨ユーロ JBpress(日本ビジネスプレス)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/3466
ユーロの存続にかかわる不安 JBpress(日本ビジネスプレス)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/3453
ですが、そういう悲観的な雰囲気の中でこそチャンスは生まれるのではないでしょうか。
ロバート・キヨサキ 金持ちがますます金持ちになる理由 第59回 悲観主義がはびこるときこそ金持ちになるチャンスだhttp://money.yahoo.co.jp/column/company/ead/celebrated/person4/080827_person4.html
このユーロ安にどう向き合えばよいか。勝負に出てもいい時なのかも知れません。
ユーロ不安にビビルときこそ、投資のチャンス![マネー]All About
http://allabout.co.jp/finance/gc/45153/
あ、この本自体はユーロだけの話で終わっているわけではありませんよ。
EUという超国家の将来を、これからEU入りするであろうトルコなどの周辺国の分析をもとに、EUの将来性を展望しています。
面白い本でした。
年後半、ユーロ安、超絶叩き込みがやって来ると睨んでます。
勝負に出てもいい時だと思います。
お互い何とか生き残りを賭け、頑張りましょう。
ユーロは100円まで下がるという観測もでてますね。
反転が確認されるまで待ってもいいかと思います。
どちらにせよ、ユーロはまた適正な水準に戻っていくと思います。
今の下げはヘッジファンドの売り浴びせだという噂があり、僕もそう思っています。
ユーロの準備金は5兆円くらいしかなく、大きく介入できないのでヘッジファンドに弄ばれているという話です。
そういう危機に対する備えをしておくことも今のEUには大事だとこの本にも書いてありました。