「俺は、中小企業のおやじ」を読みました。
浜松の中小自動車工場からはじまって、今や3兆円もの売上をあげるようになったスズキ自動車。
その経営を生涯かけてけん引して行った鈴木修さんの自伝です。
これほどの大企業になったいまでも、「うちは中小企業」とはばからない。
その姿勢は、徹底した現場主義と、即断即決という中小企業のいいところをいまも継承していることから垣間見ることができます。
この金融危機で、自動車業界は軒並み業績を下げ赤字転落する中、スズキは黒字を確保できたといいます。
それを「偶然」と著者はいいますが、2007年から在庫を減らしてきた勘と経験は、おそらく何物にも勝る経営手腕なんでしょう。
高度成長を生き抜いた経営者は、いまなお現役です。
2009年1月30日、私は79歳になりました。79歳で現役の上場企業経営者は日本で何人いるでしょうか。いやいや、80歳を超えた先輩たちもたくさんいるはず。そう考えると私もまだまだです。ありがたいことに健康にも恵まれ、週1回のゴルフ、海外出張のハシゴも苦ではありません。
8時間歩き詰めの工場監査の後、サウナに行き、深夜におよぶ宴会もこなせます。働くことが楽しいのです。休んで遊びたいとか、趣味をしたいという気はまったくありません。有給休暇はしんでから嫌というほどとれるのですから。
俺は中小企業のおやじ。「生涯現役」としてまだまだ走り続けます。
最近、相次いで大企業のトップ人事が発表されています。日本企業にとって今は一つの転換期であることは間違いありません。
ソニーでは、ハワード・ストリンガー会長が社長を兼務するという人事が発表されましたが、かつて創業者の井深氏や盛田氏が
与えてきたような
「ソニーの製品にはワクワクする」
期待感をこれからの経営者は維持できるのか。
新しい息を吹き込む、若返りという意味ではどんどんトップも交代していかなければなりませんが、鈴木氏のような超人オヤジ
のような人は、これから先はなかなか出てこない気がします。
著者は本を著したのがこれが最初だそうで、どことなく事実列挙的でドラマティックな展開に欠けるので、
読者としては「もうすこしこの話を掘り下げて聞きたかったな」という場面が多くありやや残念な気がしますが、
いろんなことに挑戦して情熱を傾けてきた半生には心打たれました。
最近のインターネット記事も見つけたので合わせて紹介します。