日本経済はこれからどうなっていくのでしょうか。1980年代まで続いた日本の成長も、90年代に起こったバブル崩壊から停滞を続け、失われた20年を経験しました。
ぼくらの世代(30代)までは昔の日本の好景気や高度成長を知りませんから、停滞する日本と歩調を合わせるように自分の人生に未来を描けなくなってしまっています。
そもそも日本人の所得は、国際的にみれば高い。「ワーキングプア」の年収が200万円でも、中国の平均賃金の5倍だ。それなのに日本の自殺者は11年連続で3万人を超え、終戦直後の混乱期を上回る。これは10万人当たりの率でみても23.7人と世界第8位で、G7諸国ではもっとも高い。その背景にある問題は所得水準ではなく、ながく続いた停滞の中で将来への希望が失われ、先行き不安が広がっているということではないだろうか。
2005年の総選挙で、民主党は「日本をあきらめない」というスローガンを掲げて闘ったが、小泉首相(当時)に敗れ、岡田克也代表は辞任した。いま民主党は念願の政権交代を果たして「国家戦略」を立案しようとしているが、その戦略には方向性が見えない。
一方で、「官僚主導の打破」をとなえて「無駄の撲滅」をいいながら、他方では子ども手当や高速道路無料化をしようとする政策は、まだ高度成長期の日本をあきらめていないのではないか。むしろかつてのようにすべての人をハッピーにすることはもうできないのだというあきらめを、民主党も学んだ方がいいのではないか。
黒船や敗戦のような存亡の危機に瀕したときは、日本にはすぐれたリーダーが現れ、国民も結束して抜本的な改革を実現した。90年代の小沢一郎氏や、2000年代の小泉純一郎氏の改革が中途半端に終わったのは、よくも悪くも日本経済にはまだ高度成長によって築いた富というバッファがあるからだろう。しかしこのまま長期停滞が10年も続けば、そのバッファも枯渇し、改革への合意も形成されるかも知れない。今の日本に足りないのは希望ではなく、変えなければ未来がないという絶望ではないか。
かつての成長がまだ続いていると錯覚しているから、いろんな政府保証やバラマキが続いていますけど、実のところは債務を膨らませないと維持していけない国家予算になってます。
成長は止まっているんだから、そろそろ身の丈に合った生活レベルというのを考えないといけない時期に来てるんでしょう。
では、なぜ日本は成長できないのか。
日本で深刻なのは、労働生産性の低下だ。2007年の労働生産性はOECD諸国の中で20位、G7諸国で最低になった。
勤勉な日本人の生産性が、怠け者として有名なイタリア人を下回るのは不可解だが、その原因は部門別に分解すると分かる。
(中略)たとえば生産性の高い部門が1割、低い部門が9割あり、両社の生産性の差が2倍だとすると、前者の生産性が40%上がっても後者の生産性が10%下がると、経済全体の平均生産性は変わらない。
(中略)製造業の生産性はあまり変わらないのに対して、サービス業の生産性上昇率が80年代の3.5%から2000年代には0.9%と急激に低下している。サービス業のGDP比は約70%に達しているため、これが平均生産性の足を引っ張っているのだ。
サービス業の生産性の低さについては、公共サービスの労働生産性の低下、NTTなどのITゼネコンの独占的地位によるガラパゴス技術で古い体質が残り、新陳代謝が促されないままになっていると述べています。
著者の東洋経済の記事に詳しいです。
http://www003.upp.so-net.ne.jp/ikeda/toyo0902.pdf
経済産業省のレポートによると、やはりサービス業の生産性上昇率は低いですね…
もうね、ITに関して言えば、ITゼネコンなんて古い体質はいらないわけですよ。エンドユーザから末端の技術者までに5社も6社も間に入るような多重請負の仕組みなんて、ほんとうにもう無駄だと思います。中間マージンを得ている会社はうれしいかも知れませんが、それって全然生産性に寄与してないです。
そして、IT関連の国家プロジェクト・公共事業にのっかってると会社は楽で儲かるかも知れませんが、工夫や競争を生まないままになるので生産性は上昇しない。
ここ10年の間に台頭してきた、googleやfacebookのような急成長企業は日本にはないですからね。livedoorは権力によって勢いを削がれちゃったし。
勤勉だけでは補いきれない、発想の転換が必要です。
そういうイノベーションが日本には足りないんだと思います。
唯一の希望がイノベーションなんですね
技術的なイノベーションでなく
社会構造的なイノベーションが日本には必要
納得です。
いままでのやり方で成功してきちゃったから、今の状態に安住して
変化を嫌う社会になってしまっています。
一度どん底を経験しないとこの傾向は変わらないでしょうね。
焼け野原から再出発しないと。