作者:上村崇 フリーランスのIT系エンジニア
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分かったつもりで分かっていなかったVPNを整理してみた


もしかしたらVPN関係の設定の仕事が来るかも知れないんで、VPNについて調べてみました。

情報処理の試験でVPN周辺の知識も問われるんで、試験対策としてはやってたんだけど、所詮暗記知識だけで終わらせており、分かったつもりになってたんで、この際仕組みもちゃんと理解しとこうかなと。

とにかくVPN周辺は認証とか暗号化方式とかで覚えにくい略語がオンパレードで出てくるので、しっかり整理して理解することが重要です。

 

インターネットVPNとは何か?

 

インターネットを使って、拠点Aと拠点Bの間の通信を暗号化し、あたかも内部LANであるかのように仮想的なLANを構築して通信を行うことができる技術。

IP-VPNとは似て非なるものなので注意。(僕はこれらを混同して使っていました)

 

 

VPNにはトランスポートモードとトンネルモードの2種類あります

 

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  • トランスポートモード
      – パソコン―パソコン間の通信。パソコンに専用クライアントソフトを入れる必要があります。
      – IPヘッダはカプセル化せずに、中身のデータだけを暗号化して転送します。 
     
  • トンネルモード
      – VPNゲートウェイ-VPNゲートウェイ間の通信。
      – 専用のVPNゲートウェイ機器が必要です。
      – VPN通信はゲートウェイ間だけなので、パソコンには何もソフトを入れなくても良い。
      – データだけではなくIPヘッダも含めてカプセル化され、VPN通信用に新しいIPアドレスが付与されます。

VPNには複数のプロトコルが選択できます

 

トランスポートモードとトンネルモードという方式は暗号化区間とか構成の話だけど、それとは別にVPNで使うプロトコルも複数あります。

VPN=Vertual Private Network だから、VPNそのものがプロトコルという訳ではなく、「仮想的にプライベートな通信を行う方式の総称」として理解すればいいのかも。

なので、それを実現するためのプロトコルは何種類かあるという訳です。

 

  • IPSec(Internet Protocol Security)
        現在主流となっているプロトコル。
     
  • PPTP(Point to Point Tunneling Protocol)
        
    Microsoft社によって提案された暗号通信のためのプロトコル。
        Windows NT 4.0のころから使われてきたトンネリング・プロトコル。
        ダイヤルアップ接続で使われるPPPプロトコルを拡張して圧縮や暗号化を組み込んだもので、
        Windows系OSのシステムでよく使われています。
     
  • L2TP(Layer 2 Tunneling Protocol)
        PPPをベースにしたトンネリング用のプロトコル。ただし暗号化機能は含まれず、
        IPSec(IP Security)で行うことになっている。これらの仕様はRFCとして決められており、
        ハードウェアのルータ製品を中心に実装が進んでいます。
     
  • SOCKS
        アプリケーションプロト コルに依存せずに、トランスポート層の上でアクセス制御を行うためのプロトコル。

IPSecについて詳しく

 

  • IP(IPv4)ではオプション扱いですが、次世代IP(IPv6)では実装することが必須となっています。
     
  • IPSecでは、データの完全性を保証するための認証アルゴリズムや、暗号化アルゴリズムは固定されておらず、
       任意のアルゴリズムを実装することができます。
       これは、現在は実用的な強度を持つアルゴリズムであっても、コンピュータの演算速度の向上によって、
       いずれ陳腐化すると予想されるためです。
     
  • IPSecサービスでは、
       「認証ヘッダ(AH:Authentication Header)」と
       「暗号ペイロード(ESP:Encapsulating Security Payload)」の2つのプロトコルが用意されています。
     
  • AHは、発信元の認証、データの完全性(改ざんされていないこと)認証、リプレイ・アタックの阻止などの機能を提供します。
     
  • ESPは、AHの機能に加えてデータの暗号化機能を提供します。
     
  • この他、IPSecには安全に鍵交換を行うためにIKE(Internet Key Exchange)というプロトコルが規定されています。
       IKEは、UDPのポート500番を利用します。

 

AHについて詳しく

 

以下の認証アルゴリズムがあります 。

     

  • MD5(Message Digest Five)
        暗号アルゴリズムの一つで,アルゴリズムの簡潔さ,安全性,速度を重視しています。
        128ビットの固定長鍵をサポート。128bitsの認証様データを生成。
     
  • SHA-1(Secure Hash Algorithm)
        MD5とほぼ同じアルゴリズムです。より安全性に優れますが,MD5より処理が重くなります。
        160ビットの固定長鍵をサポート。160bitsの認証様データを生成。
  •  

ESPについて詳しく

 

以下の暗号化アルゴリズムがあります。

 

  • DES(Data Encryption Standard)
        広く利用されている方式です。
     
  • 3DES(Triple Data Encryption Standard)
        DESの暗号処理を3回続けて行います。そのため,強度な暗号化をすることができます。
  •  

    最近のVPNゲートウェイでは、その他にもAES/Blowfish/CASTなど複数の暗号化アルゴリズムをサポートしています。

     

       

       

       

      参考

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