ネタ元が昨日の日記と同じサイトで恐縮だけど。
取り違え回避のやりかた
システムは世の中を便利にしたけれど、すべての物事がシステムにとって換えられる時代はまだまだ遠い先の
話なんだと思います。
システムっていうのは、まずはじめに「設計」という段階があって、その段階でシステムが出来る
範囲のことが決まってしまいます。
その設計で一度作り上げてしまうと、設計段階で考慮されていなかった点や、想定外の出来事が起
こるとシステムは対処できません。
逆に言うと、一生懸命設計して作った製品が出来た時点はゴールではなくて、そこから使ってみて
初めて「想定外の使われ方」が露呈し長い仕様変更への旅が始まるのです。
そこを理解しないで「システムは万能」とユーザーに刷り込むと、かえって使いにくいシステムに
なることが往々にしてあります。
この3連休の間に、淡路島に住む一人暮らしのおばあちゃんの家に遊びに行きましたが、
その家は湯沸かしにエコキュートを使っていました。
僕が今住んでいる家は賃貸だしそんな高度な給湯システムじゃないので、お湯が必要だったら必要なだけオン
デマンドでお湯を沸かす単純な仕組みの給湯器ですが、エコキュートというのは、あらかじめ安い
深夜電力でお湯を貯めておき、必要なときにそのお湯を使うという仕組みの給湯器だそうです。
そのエコキュートがまた賢くて、ひとり暮らしのおばあちゃんが使うお湯の量を日々ウォッチし、
生活に必要な分量をはじきだし効率的にお湯を蓄積することが出来るそうです。
ひとりで暮らす分にはそれでうまく回るシステムなのですが、今回のように親族が大挙して泊まり
に押し寄せた場合にどうなるか。
泊まりに来た人がお風呂に入るたびにお湯が使われていき、やがてお湯は枯渇してしまいます。
途中からお湯が出なくなり、あわてて業者に助けを請う事態になりました。
取扱説明書をひっぱりだし、最後には普通の給湯方式に切り替えることができ難を逃れましたが、
こういうとき、
「便利なはずのシステムなのに、なぜ便利に使えないのだろう…」
と思ってしまいます。
「システムは万能」という奢った仕組みにしてしまっているため、想定外の事が起こったときに、
単にシステムが立ち往生するだけで、潔くギブアップして人間に引き継ぐように出来ていないの
です。
結局、残されたユーザーがトラブル事象解析~問題解決までやらされる羽目になり、いわば「便利
なシステム」のケツ拭きをさせられ
「何が便利なシステムじゃ!」とユーザーの怒りを買う結果になってしまうのです。
やはりシステムは今のところ、「人間の活動のうち、ごく単純なフローに限ってしか自動処理でき
ない」ことを受け入れるべきなんだと思います。
自動改札が普及したけど、人力の改札口は今なお必要です。
自動応答を導入している電話のサポートセンターでも「オペレータと通話する」オプションはやっ
ぱり必要なんです。
便利なシステムを身の回りに置くほど、生活は楽になるような錯覚に陥りますが、実のところ
ケツ拭きをしないといけない機械の数が増えていってるだけなんですよね。
便利なモノを買うほど、自分が賢くなっていかなければならない、厚い説明書を理解する能力を
身につけておかなければならない、そんなジレンマを抱えているんですよね。