神戸のポートアイランドで開催された、神戸ITフロンティアセミナーに行ってきたので聞いたことをメモします。
僕がよく行くIT系の勉強会とは違って、平日ですし商工会議所主催ということもあって、来場者の年齢層が高めでした。
講演内容も、専門的な内容ではなく、入門的な感じでした。
200人くらい入れそうな神戸商工会議所のホール
ITで拓かれる未来 Google及川卓也さん
言葉が次から次へと淀みなく出てくる講演はさすがだなと思いました。
きっと経験に裏打ちされた、ものすごく豊富な知識があるんだと思います。
・及川さんはIT業界20数年のキャリア
・ウェブブラウザ ChromeとかGoogle日本語入力を作っている。
講演は
・ソーシャル
・ビッグデータ
・スマートデバイス
の3つのキーワードのお話。
ソーシャルについて
・Google検索は、検索結果に自分の知り合いがソーシャルでお勧めしたもの分かるようになっている。
検索結果に、ソーシャルな価値判断が加わっている。
・Socialの本質は「人と人とのつながり」でありこれをSocial Graphと言う。
・ロケーションサービスとは、自分がいる周辺で起こっているイベントやつぶやきを知ることが出来るサービス。
→ 災害時などでは有効。
スマートデバイスについて
・スマートデバイスとは、単に性能が良ければいいわけではなくて、人間の五感を補助する役割が備わって
初めて「スマートデバイス」と言う。そういう意味で体の一部となるもの。
・自分のスマートフォンを他人に使われるのを躊躇するのは、スマートフォンが自分の体の一部、脳の拡張であるため。
・昔、1970年にCRAY-1というスーパーコンピュータがあったが、
今のスマートフォンはその10倍に相当するスペックを持っている。
・Google検索は、通勤途中に携帯をいじっている人が使っていると思っていたら、違った。
夜テレビを見ているときに、分からない言葉を調べるために検索が良く使われることが分かった。
だとしたら、テレビ自体に直接検索できるような機能を持つことが望ましい。
・テレビはスマートデバイスになるか?
テレビは家族が使うものなので、テレビをスマートデバイスにするつもりならば、家族共同で使う
ことを前提にするべき。なので必要とされるアプリもスマートフォンと違ってくるはず。
Big Dataについて
・Google検索の「もしかして」の機能はビッグデータを利用している。
・間違ってひらがなモードで「ごおgぇ」で検索しても、「google」の検索結果が出る。
これは「ごおgぇ」で間違えて検索してしまった人が、次に「google」で検索しているという
統計データがあるため。それを利用している。
・昔の音声認識の技術では、使う前にまず自分の音声を学習(エンロールメント)させる必要があった。
これにより、自分の声の特徴を記憶させる。
→ 今はそんなことはしなくても良くなっている。
それは、現代はいろんな癖のある人の声のデータベースをたくさん持っているから。
・ビッグデータを解析するためのツール → MapReduce, Hadoop
・Map=広げる、Reduce=減らす。つまり、たくさんのデータをMapのように広げて、それを多くの
コンピュータに処理させる。そしてそれを解析して統計データとして抽出する(Reduce)
・Google日本語入力
IMEの開発においては、通常、辞書を掲載する人が要る。
しかしGoogleの中にはそういう役割をする人がいない。
Webで公開されているデータをすべて集めて、単語を取り出して、辞書を自動生成しているから。
Google日本語入力を出せたのも、ビッグデータの恩恵による。
・位置情報サービスについて
自分のいる位置の周辺情報が探せるのは便利だが、自分の個人情報が知らないところで
活用されているという不安要素もある。
しかし、セキュリティに関して考慮しているサービスは、個人情報を必要以上に取得しようとしない。
なぜならば、個人情報は持てば持つほど情報漏えいなどのリスクが高まるから。
Gooleに関しては、個人が特定できないような匿名性を保った上でデータを集めている。
・2005半ば以降、ポピュラーになったアプリはブラウザで行うWebアプリが多い。
それまではパソコン上で動作するネイティブなアプリケーションが中心だった。
・Windows95の時代
.txtの拡張子をダブルクリックするとメモ帳が開く。これはファイルがアプリに関連付けられているから。
しかしスマートフォンはどうか? 写真を編集するにもユーザがアプリを選ばないといけない。
そういう意味で、スマートフォンになって利便性が低下しているところもある。
そこを便利にしていくことが課題。
・ブラウザ
現代のブラウザはもはや「インターネット閲覧ソフト」ではない
クラウドアプリケーションである。
ChromeはBlueToothで通信して、クラウドを介さない通信も可能になってきている。
例えば、ChromeでBluetoothを使って、模型の動きを制御するとか。
・Openな開発、Closedな開発
どちらが優れているかどうかは決められない。
しかし、Closedで成功するのはOpenよりもより難しいのではないか。
プロダクトは、考えもしなかった使い方をユーザが生み出すことによって生まれることが多くなっている。
それがOpenの利点。
Googleマップの初期は、マップの機能だけだったが、そのうち(利用規約違反なのに)
ユーザによるカスタマイズが行われ、グルメマップ、駐車場マップとして使われた。
Googleとしては想定外の使われ方をされた。
→ 方針転換してGoogleはそれを認め、APIを公開するようになった。
・リーンスタートアップ
「大まかな合意と、動くプログラム」
Rough consensus and Runnning
100%完成させなくても、とにかく動くものを。
TCP/IPなど通信のプロトコルは、実は簡単なものの積み重ね。
NFC(近距離無線通信)で空前の好景気 ブリリアントサービス杉本礼彦さん
個人的には、知らないことが多かったので非常に参考になりました。
NFCはこれから流行りますかね!?とても楽しみな技術です。
・NFC=Near Field Communicationの略
・NFCLABの紹介
会員数 317名
神奈川の六角橋の商店街と、NFCLABのイベントをやることを検討中。
・ブリリアントサービスでは、植物工場を作っている。
Andoroid端末で植物工場の明るさなどを制御する。
赤色の赤外線を多くすると→レタスが大きく、生育が速い、甘い。
青色の赤外線を多くすると→レタスが小さく、硬くなる。苦い。
→ これを応用すると、生育環境が自在に操作できるので、例えば九条ねぎがどこでも作れるようになる。
・レグザとアクオスの違いを小学生は理解できない。
iPhoneとAndroidの違いを小学生は理解できない。
→ それはハードの能力の違いであり、「何ができるか」に直接訴求できるものではないから。
→ それを、上記の植物工場のように○○が育てられる、という付加価値を付けたい。
それにはソフトウェアの技術が必要。
・合コンのシステム
参加している男女がそれぞれ一箇所にかたまらないように平準化させるため、スタッフが目視で
合コン中の男女分布をみてシャッフルしたりしていた。
しかし、NFCがあれば、各参加者に手首にタグをつけてもらうことで、誰がどこにいるか分かる。
サーバーで集中管理することにより、どこに女性が固まっているかなどの分布が分かる。
・Androidの増え方
一日 100万アクティベーションされている
そのうち、NFCを搭載しているのは週に100万台。
今のiPhoneにはNFCは搭載されてないが、iPhone5に搭載されるかも?
・NFCの種類
- カードエミュレーションモード
Suicaのように、端末側に電池はいらない。
これは電磁誘導を使って、電力を端末側に送っているため。
このように電波を使って電気を供給しているので、改札の通過に少し時間がかかる。
- リーダー/ライターモード
スマートフォンに搭載されているモード。端末の方から電波を出すことが出来る。
読み書き可能。
- P2Pモード
機器間通信
SNEPというプロトコル仕様
スマートフォン同士で通信できる。しかし用途はスマートフォン同士だけに限定されない。
NFCにおける標準プロトコルはSNEPになると考えられる
・NFCは電子マネーのことだと思っている人が多いがそれだけではない。
サンフランシスコのクリッパーカードというのがある。
Badgeinというサービスでは、
このクリッパーカードに勝手にカレークーポンのデータを埋め込む付加価値をつけている。
そのことで、カードはカレークーポンの役割を果たせるようになる。
このように、暗号化領域でない場所に独自にデータを置くことができる。アイデア次第で使い方はもっと広がる
・将来、貨幣と同じくらいにNFCの重要性が高まるかも知れない。
・NFCを搭載したAndroidが普及している。
・NFCをユーザが扱うとき、昔より簡単に使えるようになってきているので、普及しやすい。
・だが、それを利用したサービスがあまり出てこない。
→この条件は、Windows95の黎明期と同じ。プラットフォームはあるが、
それを利用するサービスがあまり無かった時代。
NFCのサービスが普及すれば、大きなビジネスになるのではないか?
空前の好景気が来るのではないか?
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