オープンソースカンファレンス 2012 Kansai/Kyotoに行ってきました。
2日間の開催でしたが、僕は2日目の8/4(土)だけ行きました。
僕が出席したセッションのまとめを残しておきます。
インフラエンジニアなら知っておきたいストレージのはなし
スピーカー:島崎さん
自宅SAN友の会とは:
自宅にSANの検証環境を作りたいひとのコミュニティ
SANの話とか、SANディスクに構成するRAIDの話です。
民生用のパソコンではあまり触れることが無いですが、業務用のサーバーですとディスクにSAN装置が採用されるケースがあります。
会場内アンケート。全体で50人くらい。
・自宅にSAN環境がある方 → 1人
・仕事で使っている → 5人くらい
ライブマイグレーションとは:
VMを稼働させたまま、別のハードウェアに移動する技術。
→ ハード故障のときも、別のハードウェアに仮想マシンを移動することにより業務を止めずに運用できる。
LUN: LogicalUnitNumber 論理ボリュームのこと
[参考]LUNとは【Logical Unit Number】(論理ユニット番号)
・VMWareはFibreChannelのサポートが厚い。
・いろいろ説明したけど、触ってみないとやっぱりイメージしづらい。
→ 家でやろう!
・専用ハードは安いものでも70万くらいする。
普通は数百万〜数千万 → 買えるかボケ!
・ディスクアレイの接続方法:
iSCSI すぐできるので面白くない。
FCoE まだ高い。
FibreChannel 意外に安くできる。
やり方としては2択
・Linux+SCST
・Solaris/COMSTAR
安くやれば3万円くらいでできる。
一般家庭にSANを導入する人は少数だと思いますが、こういう生き方も、我が道を行くという感じでいいかもですね。
jQuery MobileとPhoneGapによるHTML5/JavaScriptで楽々スマフォアプリ開発
スピーカー:おかもとさん
jQueeyMobileを使うと、Objective-CやJavaなどでモバイルデバイスのネイティブアプリを作らずにそれなりにモバイルアプリっぽいサイトを作れるので便利です。
僕も自分のフリーソフトウェアで使おうと思っているのですが、まだ実装できていません…
モバイルフレームワークのプラットフォームのシェア
jQueryMobile が1位 28.6%
2位は PhoneGap
jQueryMoblieの利点
・Webサイトでスマホっぽい動作が実現できる。
・どのモバイルデバイスでもそれなりに動作する。
・divにdata-role 属性をつける。
・スマートフォンぽい、株にボタンを配置することも可能。
・120もの豊富なアイコンが利用可能なIcom-Pack。
・Androidでは、clickイベントの反応は遅いので、vclickを利用したほうが良い。
・加速度センサーを使ったアプリも作れる。
・カメラを使ったアプリも作れる。
・位置情報を使ったアプリも作れる。
・ゲームのような自由なレンダリングを行う画面は無理。
jQueryMobileは重い?
・Androidを使う場合は重い場合がある。
重い場合は
・アプリケーションキャッシュを使用する方法
・遅延ロドを利用する方法
・プリフェッチ
などを使うとよい。
導入事例: こくちーず、CAPCOMなど
PhoneGAPについて
・AppStore,GooglePlayへの登録ができるので、マネタイズも可能。
・プラグインによる拡張可能。
・Webブラウザだけじゃ利用できない機能が利用できる。
・PhoneGAPはWebブラウザでは利用できないところもサポートする。
スマートフォンのWebサイトをアプリっぽくしたい場合は、jQueryMobileとかPhoneGAPってかなり使えるなと思いました。
Linux セキュリティ超入門
スピーカー:杜若さん
杜若さんはSUSE Linuxの人
・SUSEはドイツ発祥のLinuxディストリビューション
・パッケージシステムはRPM
・先祖はSlackware
会場参加者(約70名)
・CentOS利用者が多い。
・SUSE使っている人は数名。
・セキュリティについての話
SSHでrootに入るのはダメ。設定ファイルを直接編集しなくても、SUSEの管理ツールYaSTでssh設定できる。
・サーバーソフトウェアを堅牢なものに
bind9じゃなくてUnbound、NDSに乗り換える。
ApacheじゃなくてNginxやLighttpdに乗り換える。
・LDAPとは:
ユーザ管理をデータベース上で行うツール。ユーザ数が多くなるとこっちの方が楽みたいです。
参考: LDAPとは【Lightweight Directory Access Protocol】
セキュリティ対策についてもう少し突っ込んだ話を聞ければよかったのですが、あまり目新しいことを聞けなかったのがちょっと残念でした。
MyDNS.JPと汎用制御装置GVCであれこれ制御
スピーカー:かぶらぎさん
・MyDNS.jpというダイナミックDNSサービスをやっている。
・MyDNS.JPの管理は1人でやっている。
・かぶらぎさんの本業はISPのシステム全般。
・ダイナミックDNSへのIPの更新手段については、POP3とかFTPとかでIP通知を受け取り更新ができる。
・ユーザは個人法人官公庁海外など多岐に渡る。
・DNSのソフトウェアはPowerDNSを使っている。
・ディスクはSSD使ってる。
・日本や香港などの先進国を除く、発展途上のアジアではIPV4が枯渇している。
いろんな人が競ってIPV4を買いあさっている状態。
・PowerDNSとは?
SQLエンジンをベースにしたDNSサービス。
BINDのようにZONEファイルというものがない。
DNSレコードがDBの中にある。
・MyDNS.jpはオランダ、ロサンゼルス、インド、日本の4箇所で運用している。
・VPSの世界の変化が激しい。
VPS業者が会社をたたんだりすることは日常茶飯事なので、VPSは無くなることがアタリマエのこととして運用を考えること。
・世界のVPSを分散しても、費用は月々5000円くらいで世界展開が出来る。
・DNSの運用負荷としてはあまり大したこと無い。CPU使用率0%のときが多い。
・DNSのQuery latencyも0.055msであり時間はかかってない。
・汎用制御装置 GVCについて
Linuxとマイコンボードを使った、いろんな機器への制御を行うための規格を策定中。
例えば、「外出先から自宅の温度をみてエアコンをONする」「鳥の餌を食べに来るネズミを撃退したい」などを解決するシステム。
僕も何年も前から利用させてもらっているダイナミックDNSのMyDNS.jpですが、そのサービスを作っている本人にお会いすることができて光栄でした。
このサービスを1人でされていることにも驚きですが、話もとても面白く、ぐいぐい引きこまれました。
DNSサービスってbindだけじゃなくていろいろあるんですね。他の選択肢をあまり知らなかったので勉強になりました。
国産baserCMSの基本機能と秘めたポテンシャル
スピーカー:江頭さん
江頭さんはbaserCMSのコアデベロッパー
・CakePHPで開発している。
・baserCMSとは: WordPressほど高機能じゃないけど、ちょうどいい機能がパッケージされているCMS。
・シンプルをモットーにしている。
・コーポレートサイトにちょうどいい機能がパッケージングされている。
・ブログが複数設置可能。
・スマホ、携帯に標準対応。
・管理画面で必要な機能だけを表示できる。
・MITライセンスなので、自由にカスタマイズ可能。
・日本語完全サポート。
・開発者との距離が近い。
・2009年β版リリース。
・2010年2月 安定版リリース。
・25000ダウンロード達成。
・ヘテムルとロリポップ!の簡単インストール搭載されている。
・高機能なメールフォーム。
・管理メニューは出す項目、出さない項目をカスタマイズできる。D&Dで並び替えもできるから便利。
・日付の選択ボックスが、「平成」など和暦に対応している。
・開発スタッフ12名。
印象に残ったのが、
「SIなどの業務システムは、既存の仕組みでは効率が悪いからシステム化することによってコスト削減するという目的がある。なので削減効果が見えやすい。一方Webシステムは、広告宣伝の意味合いが強いので、先行投資に近く効果が見えにくい」ということでした。なるほどそうだなと思いました。
baserCMSは、CakePHPで出来ており、システムを拡張したい時にはフレームワークの流儀にのっとってやれるので、そこは他のCMSより有利な点だと思います。
CMS単体で使うというより、「実現したいシステムを設計する際に、baserCMSをベースに拡張する」という使い方ができそうな気がしています。
まとめ
OSC京都は2日目だけの参加でしたが、とてもたくさん得るものがありました。
オープンソースソフトウェア界で活躍されてる方と交流し、自分自身とても刺激になります。
自分も何か生み出せるよう、貢献できるよう頑張りたいと改めて思った一日でした。