大阪十三で開催された「Webの運営とマネタイズ」に参加しました。
Web制作に関するノウハウや知識はちまたにあふれていますが、マネタイズやマーケティングに関しての話題は比較的少ないのではないかと思います。
自分の不得意分野(というかまったく知らない分野)だったので、そういう能力をつけたいと思い参加することにしました。
セミナーで聞いてメモったことを残しておきます。
KDDIウェブコミュニケーションズ 高畑さん @teppeitakahata
・このセミナーは全国各地で行なってきた。静岡で開催したのが最初。
・「お金を儲ける」を始点に考えることに主眼を置く。
・高畑さんの紹介
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中小企業、個人事業主様を対象とした無料ウェブサイト構築サービスサイトみんなのビジネスオンライン
CPI ホスティングブランドの責任者。
・「Webマーケティングはセンスです」。お金の匂いを嗅ぎとる力が必要。
・マネタイズができるかどうかのきっかけはすごく小さいところから始まる。
・些細なきっかけを掴むかどうかで勝敗が決まる。
・すぐれたWebマーケティングとは?
Webありきではなく、Webはあくまで事業の中の一部だということ。
しかし、Web製作者側は当然Webのことばかり考えるので、そこで発注者とのギャップが生まれやすい。
・事業全体が成功しない限りWebサイトの成功は無い。
制作側はWebサイトの成功をターゲットに置いている人が多い。
そのギャップを埋めるため、事業者とWeb製作者の間で共通のゴールを作ることが大事。
・マーケティングの4Pとは?
Product 商品力
Price 価格
Place 販売チャネル
Promotion 宣伝
・消費者としての私たちは知らず知らずのうちに商品価値をどこかで計算している。
・商品力が一番大事、その次に価格。販売チャネル(Webショップなど)や広告は優先事項ではない。
・山奥のソバ屋、ラーメン屋は不便なところにあるのになぜ行列ができるほどの人気?
→ 口コミの力。広告がなくても商品力があれば売れる。
→ ソバ750円に対して、客は2倍の価値があると考えていた。このお得感がバイラル効果を生む。
・「売れない商品を売る術は無い」
自社商品を他社競合と比較した時、負けていると感じた場合はいくらWebサイトで工夫しても無駄。
かけるべき比重は「商品力 > Web」。商品力を高めることが大事。
・しかし代理店のような商売の場合は商品力・価格が変更できないというジレンマがある。
その場合は、「販売チャネル」と「宣伝」しか工夫するところがない。
CPI(レンタルサーバー業者)のサイト例
・レンタルサーバーは商品力の視覚化が難しい。
CPIは無名ブランドなので契約するかどうか客が躊躇してしまう問題があった。
→ サービス品質を視覚化する。
有名ブランド(Oracle、Sunなど)のロゴを使用して、そういう機器を使用していますアピール。
・顧客対応品質の視覚化。
海外のサイトは人物を掲載するとき、カメラ目線の写真が多い。直球勝負でサービスをアピールする。
人の写真をサイトに掲載することで、見えないサービスをイメージさせる。
→ たとえば、無農薬野菜の生産者の顔写真をカメラ目線でサイトに載せる。
・事業が成功しない問題はどこにあるか? 問題は4PうちのどのPであるかを分析することが大事。
Web製作にとりかかるよりも前に、その改善ポイントを見つけ実践すること。
Webの変更はあくまで最後の手段。
Verisignの例
・Verisignを代理販売していた。しかしこの商品の場合自分で商品を変更できないので”Product”は変更不可。
・その他の部分は変えられるので、自分たちで変えられる部分について工夫する。
・まず、 広告費を大きくした(リスティング広告など)けど、それはほとんど効果なかった。
・ 次の行動として、売りたいターゲット層を想定して、それに訴求する効果的な広告を考えた。
ターゲット:企業のIT担当者、男性、社内で自分の手柄を得たいと思うタイプ
・そんなターゲットにきれいなお姉ちゃんの写真がプリントされたDMを送りつける手法を試した。
結果は成功した。
→ ターゲットを明確にすることで宣伝手法も見えてくる。
・購入者の気持ちになって考える。
・ネットにとらわれない施策も必要。
DMでもいいし、ポスティングでもいい。
まとめ
・収益に必要なのはWebの知識やテクニックではない。
・見えないものを見えるようにする。
コーヒー店は、コーヒー豆の匂いをさせることにより客の五感を刺激する。
・閲覧者の身になって問題を分析する
・疑うべきものはまず商品と価格。Webデザインとか広告はその次。
–感想–
内容もさることながら、高畑さんのプレゼンの能力がすばらしすぎて、すっかり見入ってしまいました。
用意しているスライド資料の量も豊富で、その進行イメージをほとんど暗記しているんじゃないかと思うようなスムーズなストーリー展開で、見ている方も飽きませんでした。
内容については、Webの主要サービスの責任者だけにどういう戦略で、どういう利益を見込んでビジネスを展開しているかという大きな視点で語っていただいたのが新鮮でした。
僕らは普段そういう立場に立って何かをすることも無いし、そういうケーススタディも経験できないだけに、貴重な話を聴けたと思います。
インターネットストラテジー 角掛 健志さん @tsunokake
リスク低減、利益追求型のサイトリニューアル手法
・サイトリニューアルとは何か?
・デザインを変更する。
・コンテンツの品質を上げる。
→ これは表面上の問題であり本質ではない。
・本質はビジネス上の今ある問題を解決すること。
いまある問題を解決することが重要。
Webサイトは企業の利益に貢献しなければ価値が無い。
・サイト製作は「作業」ではなく「企画」が肝心。
企画の意図をまず理解することが大事であり、すごいデザインを作ることではない。
・リニューアルのときは、全面リニューアルを狙うのではなく、
今見つけられる問題点を見極めてその部分の改善を繰り返す。
・企画は木の幹であり、デザインとかライティングは葉にあたる部分。
・ユーザーが抱えている悩みが拾える有益な情報は質問サイト:
Yahoo知恵袋とか教えてGoo、mixi
・目標は高望みをしすぎないことがポイント。
一概には言えないが2割増しくらいの目標が望ましい。
・現状分析の確認が必要。現状分析は数値で出すこと。
・Webサイトを作る際、リニューアルする際は顧客の要望を十分ヒアリングし
Webサイトのどこを改善すれば問題を解決できるかを分析する。
ヒアリングを十分に行うことが大事。
・その際、売上情報や利益など、ときには顧客があまり公開したがらない情報が必要になる。
機密保持契約(NDA)を結ぶとシークレット情報が得られやすい。
加えて、この書類にはんこを押してもらうことで将来の成約率もアップする効果がある。
–感想–
Webはやっぱり手段であって目的ではない、Webは顧客の利益を上げるために存在する手法の一つにすぎないということを強く感じた内容でした。
確かにWebサイトがどんなにすばらしくても、売上に貢献しなければまったく意味ありません。
売れない場合はどういうポイントでサイトを構築していけば良いのかを実例を通して解説していただいたので非常にためになりました。
また、参加者同士でグループディスカッションし、どういうソリューションを提供するかについての議論ができたので、脳を鍛えるいい機会になりました。
今回のセミナーに参加したことで、一つの自信になった気がします。ありがとうございました。
セミナー終了後の懇親会にて。