7/15、16の2日間にかけて行われたオープンソースカンファレンス2011京都に参加しました。
1日目は参加せず、2日目のみ途中から参加しました。
僕が参加したセミナーをまとめてみます。
11:00 2本立て:オープンソース事例
オープンソースビジネス推進協議会という、オープンソースコミュニティ支援の業界団体があります。その構成企業の方のセミナーです。
1.オープンソース「超」入門/
寺田 雄一氏(野村総合研究所)
・基本に立ち返ってオープンソースとは?
- ソースコードがインターネット等で公開されているソフトウェア。
- 基本的には無償。
- 品質が商用製品と比較しても遜色ないレベルのものも中にはある。
- 誰でも使える、誰でも開発に参加できる。
・オープンソースのメリットは?
「安い」という理由をメリットに感じている人が70%。
・オープンソースハードウェアというのもある。
・主要なオープンソースを知る。
代表的なものでApacheとか。
・2007年度のOSS活用ITソリューション市場規模は1兆円を超えた。
今後も年9%の成長を続けることが見込まれている。
・オープンソースビジネス推進協議会は一般会員2000名くらい。
個人的にはオープンソースを使った企業の成功事例なんかを話してもらえればもっと良かったと思います。
2.オープンソースと先進技術のディープな関係
石川 公基氏(日本IBM)
・オープンソースが最近身近にありすぎているくらい普及している。
・Sahana Projectという、被災地支援のためのオープンソースプロジェクトがある。
・オープンソースソフトウェアは、リリースされた時点では話題に上るが、実用的段階になっていないこともある。
多くの人の手で揉まれて成熟してはじめて、多くの人に安心して使ってもらえる安定期に入る。
・大量データを分散処理し高速レスポンスさせるためのソフトウェアHadoop
・IBMの質問応答システムWatson。自然言語で問いかけた質問に答えてくれるシステム。
例えば、「米国が外交関係を持たない世界の4カ国のうち、どの国がもっとも北にある?」という問いに対して、
Hadoopで分散処理しながら高速に応答を返す。
テレビでクイズ王と対決したりしている。
WatsonはApache UIMA(Unstructured Information Management Architecture)も使用している。
12:00 HTML5でウェブアプリを作ろう
北村 英志氏(グーグル)
イケメンの北村氏が初心者にやさしいHTML5の解説をしてくださいました。
プロジェクタに映すために必要なMac用のディスプレイアダプタをたまたま僕が持っていたのでお貸ししました。
自分が必要なくてもこういうことがあるので持ち歩いておいたほうがいいですね!アダプタ。
・WebサイトとWebアプリのちがい
Webアプリが普通のWebサイトと違うところ:
- ブラウザいっぱいの全画面表示ができる
- オフラインでも使える。
- ページ遷移ができる。
- リッチなエクスペリエンスをもつ
- デバイスとの一体感
- スピード
・メトロノームのデモ
画像をいっさい使わず、CSS3だけでメトロノームを動かすデモ。
CSS3だけでここまでできるとは驚きました。
・chromeには、 about:flags でいろいろ設定ができるオプションがある。
・HTML5ではドラッグ&ドロップができる。
・2014年にHTML5の勧告が予定されている。
しかしそれまでまってられないので、ブラウザは各自対応を進めている。
・Progressive Enhancementという考え方。
→ 最低ラインに対応しているブラウザを基準とし、最新の仕様に対応しているブラウザにはリッチな機能を
提供するというコンセプト。
・Polyfillは、古いブラウザでもHTML5などの新しい機能をエミュレートできる機能。
・Modernizrは、各ブラウザがHTML5やCSS3に対応しているかどうかを判定してくれる。
・ウェブサイトからウェブアプリを考えるのではなく、ネイティブアプリを作るつもりでウェブアプリを捉えるとよい。
・Chrome ウェブアプリについて
実際はブックマークと同じじゃん?という声があがっている。
→ 実際は対して違わないのかも知れないが、Chromeウェブアプリはブックマークと違ってインストールする
というエクスペリエンスがある。
この行為がユーザがより多くの時間をアプリに費やすようになるきっかけになる。
・Chromeウェブアプリで有料コンテンツを売ることが出来る。
マージンは5%しか取らないので良心的。
13:00 VPSの話
講師:寺田 亜紀氏(NTTPCコミュニケーションズ)
WebARENAの中の人によるVPSの裏話です。
・NTTPCコミュニケーションズは社員数 572名。
・1997年データセンタ事業開始。
・2005年 Linux-VserverでVPSサービス開始。
・2007年頃、いろいろな仮想化ソフトウェアが出てきた。
VMWare、Xen、Virturozzoなど。
・WebARENAはOpenVZを採用した。
・OpenVZは資源管理の効率が良い。管理しやすい。
・ハードウェア構成
ブレードシステムを使用。
ストレージはSANストレージシステム内においている。
・コントロールパネルはNTTPC自作。
・コントロールパネルサーバはHA構成、Xenを使った仮想環境上に構築。
・コントロールパネルのデザインが選択できる。
WebARENAはVPSホスティングをやっていますが、料金表をみたら割高に感じました。
一方、クラウドではCloud9というサービスを展開していますが、5月に障害が発生してから7月になった今でも障害が復旧していません。
Cloud9とVPSは別のサービスですが、別のサービスでも信頼に傷が付くのは避けられないでしょうね…。料金も安くないし、今後は苦境に立たされていくのではないかと感じています。
14:00 オープンソースで作るプライベートクラウド環境
講師:オープンクラウドキャンパス有志
Open Cloud Campusというオープンソース系のクラウドコンピューティングの有志によるセッションです。
Eucalyptus紹介(中井さん)
スライドを公開してくださっているのでそちらで。
Eucalyptusに限ってないですが、キーワードとしてはこんなところでしょうか。
・redhat社のクラウドサービスOPEN SHIFT
・LXC(Linuxコンテナ)
・IaaS、PaaS
僕はこのへんの話はほとんど知らなくて、Eucalyptusについても名前は聞いたことあったけどその機能については知りませんでした。
なのでこのセッションの話は難易度が高くついていくのがかなり大変だったので、メモも満足に取れてません…
でも自宅サーバーにKVM導入しているから、Eucalyptusのようなクラウドサービス入れたら管理が楽になるのかな?
興味深々です。
OpenStackの紹介(岡本さん)
・OpenStackユーザ会あり。
・OpenStackへの参加企業は結構多い。
・Nova:仮想マシンを立ち上げてくれる。
・Swift:分散オブジェクトストレージサービス。
複数のHDDを1つの大容量HDDとして振舞わせることができる。
CloudStack紹介(荒井さん @kimotuki
・オープンソースなIaaS。
・Javaで実装。
・Cloud.com社が作っている。2010年5月サイト公開。
・導入事例:
Singapore Telecom、Korea Telecom、IDCフロンティア
・UIが良い。
・ロードバランサやファイアウォールが標準でついている。
・アーキテクチャが良く考えられている。
その他、クラウドソフトウェアとしてWakameがあります。
オープンソースのクラウドソフトウェアがこんなに豊富にあるなんて知りませんでした!
難しかったけど、新しい知識や世界に気づかせてもらいたいへん満足しています。
15:00 UbuntuでつくるホームシアターPCサーバ
講師:小林 準氏
・小林氏は会社経営(社員1人)
・「独習Linux」を書いた人。
・DLNAとは?
→Digital Living Network Alliance
オーディオ・ビジュアル機器をネットワークを利用して見るためのガイドライン
・UbuntuPCを HDTVに接続して使う。動画や音楽サーバとして。
・PCとしてももちろん使う。
・ハードウェア:
GIADA A50
NOVAC SATA4台入るケース
・Ubuntuで動画サーバを構築したが、Windowsで構築した方がなぜか動画はスムーズに動いた。
・メディアセンターアプリケーションアプリXBMCを使う。
動画再生や音楽再生ができる。
入力デバイスはWiiリモコンなど。
・他にMediaTombというアプリケーションもある。
・Eye-Fiが便利。Flickrに自動同期してくれる。
・ FreeNXはリモートデスクトップアクセスするためのソフトウェア。
超おもしろいセッションでした。
自分だけで個人的にオーディオ・ビジュアルをネットワークで楽しむのならば、別にDLNAサーバなど要らないのですが、小林さんは子供が出来てからその必要性を感じるようになったとのこと。やはり家族が利用することを考えると、パソコンよりもテレビでマルチメディアコンテンツを見られた方がいいですよね。
必要なソフトウェアはオープンソースで揃えることが出来るようになっています。あとは自分のやる気でいろんなシステムを組むことができるんだなと実感しました。
全体の感想
会場の京都リサーチパークは、西宮からだとアクセスがちょっと不便ですね。JRだと片道1000円以上かかりました。
今回のOSC京都はセッションの数が並列で7枠もありました。聞いてみたいセッションがかぶっている時間帯もあったりしたので、どれを選ぶか悩みました。
出展ブースは数多くの団体が参加しており、とても盛り上がっていました。
参加者数は1日目500人、2日目600人だったということです。4月に行われた神戸のITフェスティバルでも確か600人くらいの来場者数があったはずですから、関西で行われるイベントは軒並みこれくらいの規模になってきているということですね。開催する側もあらかじめこれくらいのキャパは用意しておいた方がいいのかも知れません。
運営の皆様、講師の皆様どうもありがとうございました。